7月の終わり、BCTION実行委員会から、「取り壊し予定のビルを塗らないか?」という一本の電話があった。一度下見をしに来てくれと、麹町のとあるビルに足を運んだ。
9階建ての大きなビル。1階を除く全てのオフィスが退去済みであり、抜け殻そのものだった。いくつかの部屋を見せてもらいながら、「ビルの中を美術館にするのか。。。一体何を描けば面白いのか。。。」と悩みながら、BCTION実行委員会のボスである嶋本丈二とMON君からこのプロジェクトの想いを聞く。
「とりあえず俺8月8日に引っ越す予定なんだ。だから時間がないのね。っていうか明日すぐ塗っちゃっていい?」
次の日、黒いペンキとスプレー、そして白いペンキを持って、4時間ほどで自分のキャラクターの顔をそのまま大きく落書きのように描いた。この後、50名以上のペインターが色々な場所に塗ることとなるが、自分が一番最初のペインターであった事は有り難い事だった。
自分がなぜこの顔を描こうかと思った理由は以下の通りだ。
「取り壊しのビルに宿る『神』を描こう。」
1階から9階までの真っ白な壁たちを観た僕には、このビルの顔という部分を描きたいと思わされた。例えば、ビルの全体を透かしてみてみると、8階に顔があったら、ビル自体が一つの生き物に見えるのではという遠い想像をしてしまったからだ。そして自分が一番最初に筆を入れるという事もあって、挨拶として。。。このような軽い気持ちがあのような事になるなど一体誰が想像しただろうか。。。
そして僕は8月8日に引越しをする。
それから、BCTIONのオープニングがあるまでに、何度も東京でイベントが予定されていたために、足を運んだ。その都度、麹町へ赴き、一体ビルがどのように変貌しているのかを観てみたかった。
8階の壁には、既にMHAK、OT、SANDたちが僕のモンスターフェイスの周りに絵を描いていた。そう彼らはペインタークルー81bastardsのメンバーである。
左にOTの『龍神』、そして右にSANDの『蛇神』。そしてMHAKが中心から『空』『海』『地』を連想させるデザインを残す。まるで、日本の神をイメージしているかのように描かれていた。
僕は彼らに自分が『神』を描こうとしていたことは一切伝えていなかったが、なぜか、空と海の神が左から、そして地の神が右から現れ、地球であがめられている『全能の神』が真ん中になっているとは思いもよらなかった。
そして、数日後、Jun Inoue(81bastards)がかけつけ、最後の締めにとりかかった。彼は2フロアを担当したが、この8階では、地面に『八十一』という文字を描いてくれた。81とは日本の国番号。思いもよらないところで、日本の神をあがめる場所ができてしまった。
しかし、何かが足りないと思い始めた。大きく口を開く漆黒の暗闇が『宇宙』に見えたのである。これは宇宙にしないと駄目だと、とっさの判断で星を描き進める。そして遠くからみた時、口の中に吸い込まれる気持ちがなんともいえなかった。
これで満足はいかなかった。SANDと一緒に話しを始めたのがきっかけで思いも寄らない方向へ進んでいく。「ねえ、よっくんここにさ、なんかキャラクター描いてよ」と。誰もが見落としそうな一番右端にある、突起した壁に手のひらほどの小さなキャラクターを描いた。もちろん宇宙空間の中なので、宇宙服を着たキャラクターを描いた。
81bastardsのみんなとふざけあいながら話していたところで出た言葉が実に興味深い。
「大きいばかりが良いわけじゃない。そうやってあの小さい神様が教えてくれてるんだって。っていうか、あれが実は神様なんじゃないかっていう事なんじゃね?やばいね、実はあの小さいキャラが神様だったっていう。でかい口は入り口。そして宇宙と通じるものがあるっていう。これはやばい。そうしようよ。」
「っていうかMHAKが描いた、顔の周りの感じ、UFOじゃね?」
そうこれが僕の手から自然と作り出された小さな神様。
そうこれが偶然の一致となりえた『Elohim(エロヒム)』であるに違いないと、昨夜、ふと頭の中に入ってきたのである。そうこれこそが、僕の全身を鳥肌にさせた、あのエロヒムであるに間違いはない。
エロヒムとは。。。
僕は最近エロヒムの存在をある大切な友人を通して知りました。2ヶ月前はエロヒムの存在を全く知らなかったのにもかかわらず、偶然にもエロヒムの存在を仲間と語り合い、そしてエロヒムをそのまま描いてしまったという事に僕は驚きを隠せません。エロヒムとは一体なんなのか?それは知らないあなたの責任において、自分の手、そして自分の目で調べ、冒険をしてみてください。そして、その存在を知った時に、あなたはこの世界がどのように作られたかを知る事になるでしょう。そしてこの驚きを僕らと一緒に共有することができるでしょう。エロヒムを知る人のみこの驚きに共感できる事は間違いありません。説明不足で申し訳有りませんが、僕はあなたに冒険をして欲しいのです。さあ、未知なる世界、そして驚愕の事実への旅へあなたも行ってみませんか?信じるか信じないかはあなた次第。